ヤキトリや串揚げなどから串を抜くことがたまにはあることと思いますが、抜きにくい状態で無理に頑張って力を込めたらミサイル発射なんて経験ありませんか?
または、地面に刺さった杭やポールなどを抜くときにも同様の問題が発生すると思います。
ダイソーで売ってる「やきとりを外して食べるフォーク」を買わなくても、
高校で履修する物理基礎の基礎知識を用いることで、
この問題を簡単に解決することができます。
ヒントは3つ
1.「動摩擦力 < 静止摩擦力」
2.「摩擦力は接触面積に比例する」
3.「摩擦力は表面を押す力に比例する」
です。
摩擦力の原理
Wikipediaに文面で説明されていますが、
![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/24/Friction_between_surfaces.jpg/640px-Friction_between_surfaces.jpg)
摩擦力は基本的な相互作用ではなく、多くの要因が関わっている。巨視的な物体間の摩擦は、物体表面の微細な突出部(アスペリティ)がもう一方の表面と接することによって起きる。接触部では、界面凝着、表面粗さ、表面の変形、表面状態(汚れ、吸着分子層、酸化層)が複合的に作用する。これらの相互作用が複雑であるため、第一原理から摩擦を計算することは非現実的であり、実証研究的な研究手法が取られる。
機械工学系の学校では習うと思いますが、
物体の表面は基本的に凸凹(でこぼこ)です。
ツルツルに見える鏡面でも凸凹(でこぼこ)です。
「表面粗さ 断面」で画像検索するとたくさん出てくると思います。
▼物体表面の断面図はこんな感じ(静止状態イメージ)
![](https://macocci7.net/blog/wp-content/uploads/2024/05/physics_friction_01.png)
摩擦力は総合力で、それらの成分として挙げられるのは、
- 表面凹凸の接触による相互作用(押す力と押し返す力)
- 表面同士の凝着(部分的な化学結合等)による抵抗
- 異物の接触による相互作用
- 凝着物による抵抗
などなどです。
これらの抵抗力の総合力である最大摩擦静止力を振り切って物体が動き出すと、
凝着がはがれ、
部分的に凹凸が削れ、または変形し、
物体間の距離が微妙に離れて物体表面の凹凸部の接触面積が減って、
などの結果として、摩擦力が小さくなります。
これにより「動摩擦力 < 静止摩擦力」となるわけです。
▼物体表面の断面図(動き出した瞬間のイメージ)
![](https://macocci7.net/blog/wp-content/uploads/2024/05/physics_friction_02.png)
ちなみに、物体の重さ(=重力≒表面を押す力)が増えると摩擦が増えますが、その理由は、
1.表面の凹凸が深く噛み合うことで接触面積が増える
→相互作用が増える
2.表面凹凸の先端同士で噛み合うと互いに削れやすい
または、噛み合いが外れやすい。
→表面凹凸の根本同士で噛み合うと互いに削れにくい
または、噛み合いが外れにくい。
といったことが考えられます。
で何が言いたいの?
本題の「楽な串(あるいは杭やポール)の抜き方」ですが、
その方法は3つです。
1.串を捻りながら抜く
→ 動摩擦力 < 静止摩擦力
2.串をグリグリ動かして穴を広げて抜く
→ 接触面積が減る
→ 串表面への圧力が減る
3.1と2の組み合わせ
※ヤキトリは箸でしっかり押さえてください。
簡単なことですよね。
これで、無理に抜こうとしてヤキトリに要らぬ力積を与えてしまい、ヤキトリミサイル発射なんてことは無くなると思います。
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