前回の記事でLaravel Duskを使ったブラウザテストを実行していますが、
テスト対象のWEBアプリはVue.jsでDB連携をする際にfetch()関数を使っていました。
その際にAPIのURL指定時にホスト名でハマったのでこの記事を書いています。
もし同様のことでお困りの方の助けになればと思います。
この記事のゴール
- Laravel Dusk実行時のホスト名がどうなっているのか理解できる。
- 当ケースでのホスト名の問題点がわかる。
- Javascriptでの問題回避策がわかる。
結論から言うと
プロジェクトトップに docker-compose.yml というファイルがあります。
Laravelプロジェクト作成時にDockerが参照する設定ファイルです。
このファイル内の 「services」の子要素名が
各コンテナ間通信の際のホスト名の代わりになります。
※厳密に言うとホスト名ではなく、Docker Engine側で、
※このサービス名で名前解決してくれるようです。
筆者の環境では、次のような内容になっています。
version: '3'
services:
laravel.test:
build:
context: ./vendor/laravel/sail/runtimes/8.2
dockerfile: Dockerfile
args:
WWWGROUP: '${WWWGROUP}'
image: sail-8.2/app
extra_hosts:
- 'host.docker.internal:host-gateway'
ports:
- '${APP_PORT:-80}:80'
- '${VITE_PORT:-5173}:${VITE_PORT:-5173}'
environment:
WWWUSER: '${WWWUSER}'
LARAVEL_SAIL: 1
XDEBUG_MODE: '${SAIL_XDEBUG_MODE:-off}'
XDEBUG_CONFIG: '${SAIL_XDEBUG_CONFIG:-client_host=host.docker.internal}'
volumes:
- '.:/var/www/html'
networks:
- sail
depends_on:
- mariadb
- mailpit
- selenium
mariadb:
image: 'mariadb:10'
ports:
- '${FORWARD_DB_PORT:-3306}:3306'
environment:
MYSQL_ROOT_PASSWORD: '${DB_PASSWORD}'
MYSQL_ROOT_HOST: '%'
MYSQL_DATABASE: '${DB_DATABASE}'
MYSQL_USER: '${DB_USERNAME}'
MYSQL_PASSWORD: '${DB_PASSWORD}'
MYSQL_ALLOW_EMPTY_PASSWORD: 'yes'
volumes:
- 'sail-mariadb:/var/lib/mysql'
- './vendor/laravel/sail/database/mysql/create-testing-database.sh:/docker-entrypoint-initdb.d/10-create-testing-database.sh'
networks:
- sail
healthcheck:
test:
- CMD
- mysqladmin
- ping
- '-p${DB_PASSWORD}'
retries: 3
timeout: 5s
mailpit:
image: 'axllent/mailpit:latest'
ports:
- '${FORWARD_MAILPIT_PORT:-1025}:1025'
- '${FORWARD_MAILPIT_DASHBOARD_PORT:-8025}:8025'
networks:
- sail
selenium:
image: selenium/standalone-chrome
ports:
- 4444:4444
- 5900:5900
extra_hosts:
- 'host.docker.internal:host-gateway'
volumes:
- '/dev/shm:/dev/shm'
networks:
- sail
networks:
sail:
driver: bridge
volumes:
sail-mariadb:
driver: local
ここで作成されるコンテナは次の4つです。
- laravel.test :WEBサーバ
- mariadb :DBサーバ
- mailpit :開発環境専用メールサーバ
- selenium :Selenium Grid Standalone with Chrome(ここでブラウザ操作)
これらが、お互いのコンテナ同士でアクセスする際のホスト名になります。
お互いのホスト間の関係をテキストで書くと次のようになります。
ホスト[localhost] (sail実行)
▼Dusk実行命令 ▲実行結果出力
ホスト[laravel.test](Dusk実行)
▼操作命令 ▲操作結果出力
ホスト[selenium](ブラウザ操作)
▼WEBアクセス ▲WEBコンテンツ出力
ホスト[laravel.test](WEBコンテンツ生成)
▼SQL ▲結果出力
ホスト[mariadb](DB管理)
何が問題なのか
筆者はVue.jsのアプリをCDN版で作成していました。
つまり、SSRでない通常のJavascriptと同様に、
コードのコンパイルと実行はクライアント側で行われます。
WEBサーバに設置してあるAPIへのアクセスURLが
Vue.js のコード内で次のように指定されていました。
`{{ env('APP_URL') }}/ajax/todo/update/`+ todo.id
{{ env(‘APP_URL’) }} の部分が、Bladeテンプレートのマスタッシュとして、
.env ファイル内で定義されている
APP_URL=http://localhost
で置き換えられます。
つまり、URLの完成形としては、
http://localhost/ajax/todo/update/1
のようなものになります。
さて、これの何が問題なのでしょうか?
このURLを解釈するのが ホスト[selenium] だということです。
[selenium] から見た [localhost] は自分自身 [selenium] です。
これではWEBサーバ [laravel.test] へアクセスできません。
[selenium] の80番ポートも443番ポートも
インバウンドアクセスはブロックされてしまいます。
当然、APIへのアクセスはブロックされてデータ取得できません。
下手すると接続待ちになってフリーズ同然になります。
道理でDuskがテスト失敗するわけです。
Javascriptにおける解決策
APIのホスト名を、開発環境においては [laravel.test] 、
本番環境においては本番サーバのホスト名を、
コードの書き換え無しに指定できるようにしなければなりません。
「http」や「https」等のプロトコルの指定も同様です。
Javascriptの場合は次の方法で解決できます。
location.protocol + '//' + location.host + '/ajax/todo/update/' + todo.id
「location.protocol」は、現在ブラウザで表示しているサイトのプロトコルを返します。
「http」や「https」のことです。
「location.host」は、現在ブラウザで表示しているサイトのホスト名を返します。
「localhost」、「www.hoge.hoge」、「github.com」などです。
Dusk実行した際のスクリーンショットを見てみましょう。
画面の上から3行目に「location.host」を表示していますが、
「laravel.test」になっていることがわかります。
![](https://macocci7.net/blog/wp-content/uploads/2023/12/resolved_hostname.png)
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